第4回HTC研究会は、東北大学 医学系研究科 大学院非常勤講師、株式会社FingerVision 取締役、山口明彦先生による講義テーマ「視覚に基づく触覚センサ FingerVisionおよびロボット・医療アプリケーション」です。
ロボット化、AI 化の流れは様々な分野で今後さらに加速すると予想されるものの「触覚」の欠如が実世界におけるロボットや機械の適用範囲を限定しています。FingerVisionとは、視覚センサ(カメラ)を基本モジュールとして構成される触覚センサであり、高性能(解像度が高く、様々なモダリティを知覚可能) 、高耐久、高経済性という産業応用に適した特徴を持っています。
本講演では、 FingerVisionのセンシング原理、ロボットマニピュレーションや、医療アプリケーションについて解説します。
FingerVisionについて
(以下東北大学スタートアップ事業化センターHPインタビュー記事等より抜粋)
触覚センサ「FingerVision」は、物体を操作するうえで欠かせない触覚を、視覚をベースに実現した先進技術です。この技術はマルチモーダルで(接触力分布、近接ビジョン:すべり・変形・物体姿勢推定)、簡単に作れて、物理的に頑丈であり、かつ安価(材料費は$50程度)という特徴を持ちます。
株式会社FingerVisionでは、この技術を応用して様々な社会課題を解決することを目指しています。
- カメラ搭載で「マルチモーダル」な触覚センサを実現
- 高い汎用性で「劇的にものづくりのやり方が変わるのでは」
- 人に対して、触覚センサを使って何ができるのか
(インタビュー記事詳細はこちらよりご覧ください)
研究紹介
FingerVisionの他にも、ロボットラーニング、強化学習、人工知能、ロボットマニピュレーション、触覚センシングなどの分野で研究されている、山口先生の研究についてご紹介します。(以下山口明彦先生サイトより抜粋)
「注ぐ」動作の模倣学習
模倣学習の枠組みで「注ぐ」動作について研究しています。
この研究のゴールは、多くの形態を持つ複雑なタスクをどのように表現し、計画し、学習するかを探ることです。
SkyAI: 高度にモジュール化された強化学習ライブラリ
SkyAI とは強化学習の手法群を収録したオープンソースのソフトウェアライブラリです。
特徴は、高い実行速度と学習システムの柔軟な構築を実現するモジュール構造にあります。
学習戦略フュージョン
学習戦略フュージョンは、強化学習の枠組で学習戦略群を融合する手法です。
一般的に、それぞれのタスクに対して適切な学習戦略を選ぶ必要があります。 一方、提案手法は学習戦略を融合することにより、この選択を自動化します。
DCOB: 高自由度ロボットの運動学習ための行動空間
DCOB は、価値関数を近似するために与えられた基底関数の集合から離散行動空間を生成する手法です。 規模の大きい問題に適用できることが最大の特徴です。
ヒューマノイドの歩行学習
この研究では、私たちが開発した強化学習手法を等身大のヒューマノイドロボットの歩行学習に適用しています。
ここでは、学習中にバランスコントローラを駆動するという、新しい歩行学習の枠組が研究されています。
DQL+: 危険な行動の記憶の再利用
DQL+ は行動価値関数を2つに分離する手法で、一方の価値関数が危険な行動(例えば転倒につながる行動)を学習します。
危険な行動の記憶は、タスクに対して不変であると考えられます。つまり、DQL+ を用いることにより、タスク間で記憶を共有できるようになります。
モデルの分離学習
この研究では、ダイナミクスモデルをタスク固有の要素とタスク不変の要素に分解する手法を開発しました。
この手法により、あるタスクで学習したダイナミクスモデルをほかのタスクのモデルに転移することが可能となります。