第2回HTC研究会は、 東北大学大学院 農学研究科長・農学部長、北澤 春樹教授 『プロバイオティック革命:「(ポスト)イムノバイオティクス」の魅力と将来性』です。
ヒトや動物は、新興・再興感染症の脅威に常にさらされており、特効薬の開発に時間と労力を要することから、薬のみに頼らない健康生活の飛躍的向上が切望されています。
一方、乳酸菌を代表とするプロバイオティクスの中でも、とくに粘膜免疫機能性を発揮する(ポスト)イムノバイオティクスは、生体の免疫力を底上げし健康長寿を支える有用微生物として、食生活に欠かせない素材として期待されています。
本講義では、次世代プロバイオティクスとしての(ポスト)イムノバイオティクスの魅力と将来性について、皆さんと一緒に考えられたらと思います。
乳酸菌(腸内細菌)・食・免疫を探究する
(東北大学大学院農学研究科 動物食品機能学分野HPより引用)
北澤先生が研究科長である、東北大学大学院農学研究科 動物食品機能学分野は、乳(ミルク)・肉・卵などの動物生産物(畜産物)や、乳加工食品である発酵乳(ヨーグルト)やチーズ、食品に添加することで有用な機能を発揮する乳酸菌やビフィズス菌(プロバイオティクス)を研究対象としています。乳(ミルク)・肉・卵などの動物生産物(畜産物)や、乳加工食品である発酵乳(ヨーグルト)やチーズ、食品に添加することで有用な機能を発揮する乳酸菌やビフィズス菌(プロバイオティクス)を研究対象としています。
動物生産科学の正確な基礎知識の上に、食品分析化学、食品微生物学、食品免疫学、食品加工学、糖質化学、分子生物学などの広範な知識を応用して、動物生産物の保健生理機能性を解明し、高度利用するための「動物食品科学」の研究を行っています。
また、食品科学分野での特許研究や特定保健用食品の開発研究、乳酸菌やビフィズス菌自体およびその代謝産物(菌体外多糖など)について、機能性の高い菌株の選抜や有効成分を単離・誘導することで、医学・薬学への応用も視野に入れた研究を展開しています。
最近の主要な研究内容について
最近の主要な研究内容は、高い整腸作用と免疫賦活化作用を共有する高機能性ヨーグルトの開発、プロバイオティクスの炎症性腸疾患における予防・改善効果、イムノバイオティクス(粘膜免疫調節作用を有するプロバイオティクス)やイムノジェニクス(イムノバイオティクスが有する免疫機能性因子:菌体細胞壁や菌体外多糖など)の粘膜免疫評価系の構築と免疫調節機構解明など、化学、細胞生化学、免疫学および遺伝子工学的手法を用いて、多岐に渡る研究を行っています。
研究室のメンバー自らがミルクや腸管試料から乳酸菌やビフィズス菌などの腸内細菌を単離し、日々新しい機能を発見しています。
最近では、多様な微生物が生息する腸内フローラの構造や機能を理解し、その知見を利用した新しいプロバイオティクスの開発や、有益な腸内細菌を増やす食品成分(プレバイオティックス)の研究を通して新しい機能性食品・機能性飼料の開発を目指しています。
国内の大学、研究機関、企業との共同研究だけではなく、アルゼンチン(アルゼンチン乳酸菌研究所CERELA-CONICET)、チリ(コンセプシオン大学)、オランダ(ワーゲニンゲン大学)など、海外との研究交流も活発な、オープンな雰囲気の研究室です。
東北大学 大学院農学研究科・農学部について
(東北大学 大学院農学研究科・農学部HPより引用)
東北大学農学研究科・農学部では、東北大学の建学の理念「研究第一(Research First)」「門戸開放(Open Door)」「実学尊重(Practice-oriented Research)」に基づき、人類が生きていくための「食料(Food)」「健康(Health)」「環境(Environment)」を課題に取り組む生物の産業科学に関する教育と研究を行なっています。
農学は、自然との共生をはかり、人類の生存にとって必須の食を含む多様な生物マテリアルの生産およびその修飾や変換を探求する学問です。地球規模で様々な課題が山積する今日、農学が日本と世界に果たすべき役割は極めて大きくなっています。
農学が抱える社会的課題は、国内では人口減少と少子高齢化に伴い農業従事者の減少や高齢化が進行し弱体化しつつある農林水産業・食品バイオテクノロジー産業の成長戦略から食料の安定供給体制を構築することです。
世界では、やがて迎える100億人の人類生存のための食料生産確保と100歳まで健康で元気に生きられる社会の実現が求められており、それを支える地球規模での環境保全・自然共生があげられます。
さらに、人類の開発活動激化による地球温暖化とそれに伴う環境変化や自然災害への対応も農学に直結し解決すべき重要な課題です。これらの課題解決に向け、農学研究科・農学部では、「食料」・「健康」・「環境」に関わる高度な基盤研究を推進し、「生物で新たな産業を創成する」ための応用開発研究を展開し、生物産業科学に関する国際的な学術研究拠点の形成を進めています。(後略。続きはサイトよりご覧ください)