HTCレターでは、東北大学のヘルステックにまつわるトピックスと、開催したヘルステック研究会についてお届けします。
東北大学 ヘルステックTOPICS
1. 我が国の医学研究を牽引 SiRIUS(医学イノベーション研究所)が始動 -若手フィジシャン・サイエンティストが研究に注力できる環境提供へ-
東北大学(仙台市青葉区、総長:冨永 悌二)は、2025年4月1日、「SiRIUS( 医学イノベーション研究所)」(所長:片桐 秀樹)を開設します。研究指向の若手臨床医研究者(フィジシャン・サイエンティスト)が研究に注力できる環境を提供し、医学研究を牽引するトップクラスの人材育成と医療イノベーション創出を推進します。
近年、バイオテクノロジー、医療工学、情報科学などの急速な発展に伴い、医療の高度化と専門化が加速しています。このような状況において、臨床医の視点を持つ臨床医研究者(フィジシャン・サイエンティスト)は、イノベーションの牽引役として重要な役割を担い、その活躍が期待されています。一方で、大学の臨床系教員は、複雑化する診療や教育に従事しながら研究時間を確保することがますます困難となっており、医学・医療における研究力強化の維持・向上が大きな課題となっています。
この度開設するSiRIUSは、臨床現場を熟知し、かつ研究指向の強い若手フィジシャンサイエンティストが、従来のマルチタスクから解放され、研究に専念できる環境を整備した国内初の医学研究所です。若手が独立した環境で斬新なアイデアに基づいて挑戦できる環境を重視しつつ、医療現場で生じる課題やニーズに即した成果を現場に還元できるよう、東北大学病院の各診療科と連携する体制を新たに整備しました。また、経験豊富なメンター・チームを組織し、独創的な研究シーズに対する国際的な評価や競争的資金の獲得に向けた支援、さらには、東北大学病院臨床研究推進センター(CRIETO)による臨床試験や知財戦略、スタートアップの支援など、手厚いサポートを受けることが可能です。
SiRIUSは、学際的かつ斬新なアイデアが生まれる環境で若手の挑戦を強力に支援し、世界トップクラスのフィジシャン・サイエンティストを育成するとともに、医療イノベーションの創出を牽引してまいります。(2024年12月17日:東北大学病院広報室/東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室)
詳細はこちらから(東北大学WEBサイト該当記事へ移動します)
2. 国際卓越研究大学・東北大学の研究等体制強化計画が認可されました
東北大学は、11月8日付で国際卓越研究大学として認定され、その事業計画となる「研究等体制強化計画」がこの度12月24日付で文部科学大臣より認可されました。
これにより、認定・認可に係る一連の審査過程が終了し、本学は国際卓越研究大学・東北大学として新たにスタートします。
長年にわたり研究教育・社会貢献に努力を重ねてきた本学関係者各位、そして本学に対し多大なるご支援を賜りましたみなさま方に対し、改めて感謝申し上げますとともに、今後も変わらぬご支援ご協力をお願い申し上げます。
本学は、国際卓越研究大学の認定第一号として、新しい研究大学の姿を提示していくことで、我が国の大学改革を先導する役割を果たしてまいります。
詳細はこちらから(東北大学WEBサイト該当記事へ移動します)
3. 「東北大学NanoTerasuを活用した研究事例」ウェブサイトを開設しました
この度、NanoTerasuを実際に活用した研究事例や、東北大学独自のNanoTerasu利活用を推進する取組・支援制度を掲載する「東北大学NanoTerasuを活用した研究事例」ウェブサイトを開設しました。
3GeV高輝度放射光施設 NanoTerasu(ナノテラス)は、本学青葉山新キャンパスに2024年4月に運用が開始された、1メートルの10億分の1というナノの世界を観察することができる世界最高水準の先端大型研究施設です。
NanoTerasuでは電子を加速器によりほぼ光の速さまで加速し、太陽光の約10億倍にも及ぶ放射光を発生させ、これを物質に照らすことにより観察が可能です。この観察を通じて、基礎科学はもちろんのこと、エネルギー、材料、デバイス、バイオ、食品など様々な産業領域において幅広く利用され、科学とイノベーションの両面を支えます。
地域パートナーで唯一の学術機関である本学は、積極的にNanoTerasuの利活用の方法を開拓するとともに、今回開設したウェブサイトによってその成果を公開し、NanoTerasuの優位性、特徴を発信していきます。
※NanoTerasuは、官民地域パートナーシップに基づき、国の主体である国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構、地域パートナーの代表機関である一般財団法人光科学イノベーションセンター、共用促進法に基づく利用促進業務を行う公益財団法人高輝度光科学研究センターにより運営されています。(2024年12月16日:ナノテラス共創推進課 利用推進係)
詳細はこちらから(東北大学WEBサイト該当記事へ移動します)
第10回 ヘルステック研究会 レポート
第10回のHT研究会は、、東北大学 大学院歯学研究科 歯内歯周治療学分野 教授、山田 聡 教授 による「最新の歯周病治療・研究と今後の展望」です。
概要
山田教授は歯周病の基本的な病態と治療について説明し、日本人の約8割が罹患している深刻な疾患であることを指摘しました。
歯周病の主な特徴として、加齢性疾患であり生活習慣病であることを説明。また、歯周病が全身疾患(糖尿病、心臓血管疾患など)とも密接に関連していることを示しました。
再生医療に関して、山田教授は現在ある3つの治療法(GTR法、エムドゲン、リグロス)について詳しく解説。特にリグロスについては、FGF-2を用いた世界初の再生医療用医薬品として承認されたことを強調しました。
また、歯根膜の重要性について言及し、特にPLAP-1遺伝子の多型と侵襲性歯周炎との関連性について、最新の研究成果を紹介しました。
歯周病の基本概念と疫学
山田教授は歯周病が日本人の約8割が罹患している疾患であり、加齢性および生活習慣病としての特徴を持つことを説明。特に若年層でも歯肉炎の症状が見られることを指摘しました。
歯周病の病態メカニズム
プラークやバイオフィルムによる持続的な炎症反応が組織破壊を引き起こすメカニズムについて詳細に解説。特に歯周ポケットの形成過程と組織破壊の進行について説明しました。
再生医療の現状と展望
3つの再生医療技術(GTR法、エムドゲン、リグロス)について説明。特にリグロスについては、臨床試験データを示しながら、その有効性を詳しく解説しました。
歯周病と全身疾患との関連
歯周病が糖尿病や心臓血管疾患などの全身疾患と密接に関連していることを示し、特に誤嚥性肺炎との関連について詳しく説明しました。(後略)
(全講義はヘルステックカレッジの参加でご覧いただけます)