2023年度ヘルステック研究会が終了しました

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2023年5月21日より始まった2023年度HTC研究会が、2024年3月12日に終了しました。研究会の内容は下記の通りです。

身体的、精神的、社会的に良好な状態であることを意味するWell-being。

東北大学ヘルステックカレッジは、未来の幸福な健康社会(Well-being)を実現するために解決しなければならない課題にフォーカスし、研究会においては受講者みなさまのビジネスの方向性と可能性を探るヒントになったのではないかと存じます。(肩書等は2023年度のものになります)

第1回 「〇〇は健康によい」というためには?(5月21日開催)

門馬先生

「運動は健康によい」ということはもはや一般常識と言っても過言でありません。しかし、この「〇〇は健康によい」と言うためには、数多くの困難(批判)を乗り越える必要があります。
本講義では、疫学という学問を通して、人を対象とした研究について一緒に考えてもらう機会を提供し、ヘルスケア領域の研究者が何を優先しているかを共有します。さらに、運動分野の未解決問題の一つとして、現在立案している経験的サンプリングを用いた活動量計の研究計画を共有したいと思います。

東北大学大学院医学系研究科 運動学分野
創生応用医学研究センター スポーツ医科学コア副センター長
准教授 門間 陽樹(障害科学博士)

第2回 プロバイオティック革命:「(ポスト)イムノバイオティクス」の魅力と将来性(6月13日開催)

ヒトや動物は、新興・再興感染症の脅威に常にさらされており、特効薬の開発に時間と労力を要することから、薬のみに頼らない健康生活の飛躍的向上が切望されています。一方、乳酸菌を代表とするプロバイオティクスの中でも、とくに粘膜免疫機能性を発揮する (ポスト)イムノバイオティクスは、生体の免疫力を底上げし健康長寿を支える有用微生物として、食生活に欠かせない素材として期待されています。
本講義では、次世代プロバイオティクスとしての (ポスト)イムノバイオティクスの魅力と将来性について、皆さんと一緒に考えられたらと思います。

東北大学大学院
農学研究科長・農学部長
教授 北澤 春樹(農学博士)

第3回 非言語情報が拓く人間性豊かなコミュニケーション~サイバー空間・リアル空間活用技術のヘルステックへの挑戦~(7月4日開催)

< 片平キャンパス対面講義+インタラクティブコンテンツ研究室視察&VR体験 >
日常の対人コミュニケーションで重要な役割を担っている「非言語情報」のやりとりは、これからの遠隔コミュニケーションを人間性豊かなものにするためには不可欠です。最近注目されつつあるメタバース等、サイバー空間を活用する遠隔コミュニケーションも、今後、さらなる利用拡大が予想されていますが、そこでの人間性豊かなコミュニケーションを実現するためには、克服すべき課題は多くあります。またこれらには、人々の健康維持・増進にも役立つと期待されているものもあります。このような私たちの試みのいくつかを紹介します。

東北大学電気通信研究所 副所長
サイバー&リアルICT学際融合研究センター長
教授 北村 喜文(工学博士)

第4回 視覚に基づく触覚センサ FingerVisionおよびロボット・医療アプリケーション(7月25日開催)

ロボット化、AI 化の流れは様々な分野で今後さらに加速すると予想されるものの、「触覚」の欠如が実世界におけるロボットや機械の適用範囲を限定しています。FingerVisionとは、視覚センサ(カメラ)を基本モジュールとして構成される触覚センサであり、高性能(解像度が高く、様々なモダリティを知覚可能) 、高耐久、高経済性という産業応用に適した特徴を持っています。
本講演では、 FingerVisionのセンシング原理、ロボットマニピュレーションや、医療アプリケーションについて解説します。

東北大学 医学系研究科 大学院非常勤講師
株式会社FingerVision 取締役
非常勤講師 山口 明彦(工学博士)

第5回 脳科学と情報科学から考えるウェルビーイングな学び(8月25日開催)

“Winners never quit and quitters never win” これは、アメリカのスポーツやビジネスの信条だとされています(Wrosch, Scheier, Carver, & Schulz, 2003a)。 日本だけでなく、世界的にも、逆境の中でも諦めずに情熱をもって粘り強く目標を追求することが美徳とされています(Eskreis-Winkler, Gross, & Duckworth, 2016)。また、何かに没頭し(engagement)成し遂げること(Achievement)が持続的な幸福の上で重要であるとしています。学ぶということにおいて、没頭し、成し遂げる、という遂行機能(一般的にはやり抜く力と言われるもの)の個人差を決定する要因の解明および、wellbeingにつながる学びとはどのようなものか、について生涯学習の観点からの最先端の脳科学に基づく研究についてご紹介します。

東北大学 大学院経済学研究科 教授
高齢経済社会研究センター センター長
スマート・エイジング学際重点研究センター 加齢経済社会研究部門長 
准教授 細田 千尋(医学博士)

第6回 機械学習・人工知能を用いたゲノム健診の実現(9月26日開催)

< 日本橋ライフサイエンスビルにて対面講義+情報交換会&名刺交換会 >
次世代シークエンシング技術の発展により、大量の全ゲノム配列データが生産され、利用可能となりつつあります。また、そのようなデータ中に、疾患の原因となったり、感受性を高めるバリアントを同定し、解釈すること、さらには、電子カルテに代表されるリアルワールドデータの蓄積・利用も、機械学習・人工知能技術の発達によって可能となってきています。これらのことから、期待が高まりつつあるゲノム診断・ゲノム健診の見通しについて紹介します。

東北大学大学院 医学系研究科 AIフロンティア新医療創生分野
東北メディカル・メガバンク機構 ゲノム遺伝統計学分野
教授 田宮 元(理学博士)

第7回 脂質酸化情報の精緻化から創造する食品の未来品質・ヒトの健康社会(10月24日開催)

脂質をはじめとする食品や生体成分の複雑な酸化情報の精緻化、そしてその理論に基づく制御を研究ライフワークとしています。ここから導かれ、基礎と応用が表裏一体となった研究テーマを追求し、食品の未来品質・ヒト健康社会の実現を目指しています。
本講義では、こうした取り組みや研究成果、そしてCOI-NEXT 『「みえる」からはじまるエンパワーメント』で行われている「みえる」を意識した試みをご紹介します。

東北大学大学院農学研究科 副研究科長
食品機能分析学
教授 仲川 清隆(農学博士)

第8回 緑内障早期発見・治療介入による健康長寿(11月21日開催)

日本の高齢化社会に伴った眼疾患罹患者の増加は大きな社会問題となっています。中でも視覚障害原因疾患の第一位は緑内障であり、緑内障早期発見・治療介入は必須であります。
そこで私達は ①気軽に早期に計測できる仕組み、②緑内障早期発見プログラムの実装、③自治体との共同研究、④目磨き文化の醸成について取り組んでいます。本講演では私達が実施している健康長寿な人生を全うできるような活動についてご紹介します。

東北大学大学院医工学研究科 生体再生医工学 視覚抗加齢医工学分野
東北大学大学院医学系研究科 神経感覚器病態学講座・眼科学分野
准教授 檜森 紀子(医学博士)

第9回 「みえる」から始まる、社会の行動変容を促す仕組み開発(12月12日開催)

東北大学では、JSTのプログラム「COI-NEXT」において、「Vision to Connect」拠点を設立しています。「誰もが人生のどのステージでも、共に暮らし、働き、遊べることで、主体的に生き生きと暮らせる社会」を目指す未来像とします。「みえる」を起点としたエンパワーメントを特徴とし、(1)情報格差ゼロ社会の設計を通じて、インクルーシブ・ユニバーサルな社会をつくり、(2)疾患、フレイルを未然に防ぎ、後悔する人がいなくなる仕組み、および(3)エビデンスに基づいた効果的な動機付けを通じて、主体的な行動変容の仕組みを社会に実装するプロジェクトに取り組んでいます。本講演では、その活動の一端を紹介します。

東北大学大学院医学系研究科 神経・感覚器病態学講座 眼科学分野
東北大学COI-NEXT「Vision to Connect」拠点 プロジェクトリーダー
教授 中澤 徹(医学博士)

第10回 深層学習に基づくクローンボイス生成技術(2024年1月23日開催)

ここ数年、機械学習を用いて画像・音声・言語を生成する生成系AI(ジェネラティブAI)技術が急速に発展しています。本講義ではこのうち、音声を対象とし、デジタルツインとして応用が期待される本人そっくりのクローンボイス生成技術について概説します。具体的には、深層学習を用いることで人間と区別がつかない品質の音声を作り出すテキスト音声合成、自分の声を好きな声に変換できる声質変換技術について述べ、それらの社会応用について紹介します。

東北大学 大学院工学研究科 通信工学専攻
株式会社ユニシー 代表取締役社長
准教授 能勢 隆(工学博士)

第11回 データxAIの未来型医療の情報基盤の実現へ向けて(2月13日開催)

ゲノムシークエンスにより、個人の体質や病状に最適なゲノム医療の研究開発と実装が進み、だれもがゲノム医療により裨益するゲノム社会の実現が目前に迫っています。医療情報やmHealthのヘルスデータもあわせて、「だれもが人生のどのステージでも、 共に暮らし、働き、遊べることで、主体的に生き生きと暮らせる社会」を実現するため、データxAIの未来型医療の情報基盤をデザインする必要があります。東北大学での取り組みと国内外の最先端の動向を紹介し、みなさんと考えたいと思います。

東北大学高等研究機構 未来型医療創成センター
東北メディカル・メガバンク機構 医療情報ICT部門 ゲノム医科学情報学分野
教授 荻島 創一(医学博士)

第12回 COI東北拠点におけるナトカリ研究について(3月12日開催)

COI東北拠点のプロジェクト「さりげないセンシングと日常人間ドックで実現する自助と共助の社会創生拠点」においてナトカリ計を用いた社会実装を担当しました。はじめは七ヶ浜町におけるFeasibility Studyならびに保健指導への導入可能性の検討、その後大規模に登米市をはじめとする県内市町村における健診現場におけるナトカリ比測定を実施しました。 本講義では、これらの研究の実施を通じて見えてきたことを説明するとともに、その後の展開についても紹介します。

東北大学 東北メディカル・メガバンク機構
予防医学・疫学部門
教授 寳澤 篤(医学博士)

PARTICIPATION
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